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「移住者の声」 ~自然栽培の野菜・米の直売所「はるよし」 芝さん(八多町西畑)~


2021年に八多町西畑に移住し、自然栽培の野菜・米の直売所「はるよし」をオープンされた芝卓哉さん。

「移住のきっかけ」「里づくりの拠点となるまでの苦労」や「八多町での暮らし」についてお話を聞きました。

Q.八多町に移住される前は何をされていましたか?

実家が同じ北区の唐櫃にあるのですが、地元の大学を卒業して、2年間会社勤めをして、退職後、新潟にあるアウトドア専門学校で通っていました。自然に囲まれた生活の中で、田舎の原風景が忘れられず農業の道に進むことを決め、2010年に地元に帰ってきました。
そこから、農家資格を取得するため、三田市の農家さんで働かせてもらいながら、並行して農地を探していました。当時、八多町の賃貸住宅に住んでいて、地域の方のご協力もあり、農家資格取得後、西畑地区の畑を借りることができました。今思うとご縁がありましたね。
最初は手探り状態でしたが、農業をしていると、たくさんの人に出会うことができ、様々な場面で助けられました。最近は顔を出せていませんが、数年前まではFARMER’S MARKETにも出店していたので、いろいろな考え方の生産者さんと繋がれたことはとても貴重な財産です。

Q.直売所をオープンされるまでの流れを教えてください。

私自身、小さい頃にアトピーで悩んだ経験もあり、無農薬・無肥料の栽培方法をいろいろ実践していました。試行錯誤を繰り返していた中、数年前に、野菜が本来持つ生命力を引き出して農薬と肥料を使わない自然栽培法の「道法スタイル」に出会いました。
農業を始めた頃から抱いていた「安心で安全なものを届けたい」という気持ちがだんだんと大きくなり、加工場や直売所を兼ねた自宅を持ちたいと考えるようになりました。
八多町内の空き家をいくつか見学しましたが、畑へのアクセスとロケーションが気に入り、今の場所にたどり着きました。ところが、開発行為に制限がかけられている市街化調整区域において、建物を新築・改築したり、起業したりするためには、地域が作成する「里づくり計画」の中で「農村定住起業計画」に位置付けられる必要があり、北農業振興センターや八多出張所にご協力いただき、手続きを進めていきました。私が手続きしている頃は、まだ北神地域でも里づくり拠点等の事例も少なく、行政側も大変だったと思いますが、熱心に動いてくれました。おかげで、1年ほどで「里づくり計画」が完成、開発許可も下り、直売所の改修工事に補助金をいただくこともできました。
といった感じで、紆余曲折あったものの、晴れて、令和3年3月に「はるよし」をオープンしました。

Q.手続きで大変なことはありましたか?

「西畑地区で直売所を作りたい」という私個人の夢に地域の人を巻きこまなくてはいけなかったことは、正直申し訳ない気持ちがありました。皆さんお忙しい中、里づくり協議会を4回も開いて「里づくり計画」を策定いただき、多くの人の時間と労力をいただいたおかげで、自分のやりたいスタイルを実現できました。とても感謝しています。

Q.移住後の生活はどうですか?

自宅も新築したので、とても快適に暮らしています。交通量の多い街道沿いですが、一本奥に入っているので騒音もそれほど気になりません。市街地が近く、日用品は八多町内の北神戸グリーンガーデンモールで揃いますし、ホームセンターもいくつもあるので、農業をする者にとってはありがたいですね。
普段は自然の中でゆったりした生活を楽しみつつ、三宮にもバスで30分、イオンモール神戸北や神戸三田アウトレットモールにも気軽に行けてしまう環境が八多町の良さではないでしょうか。



Q.八多町のお気に入りスポットを教えてください。

同じ西畑で貸農園をされている「八多グリーンヴィレッジ」さんには、よく声をかけていただきお世話になっています。利用者の方も熱心に農作業されていますし、同じ地区に長年農業を頑張ってこられた方がいるのはありがたいし、心強いですね。
また、最近、新規就農者や農的な暮らしを実践される方が近隣に増えてうれしく思っています。
同じ西畑地区でスイートコーンやいちごを栽培されている「まつばら農園」さんや、隣の屏風地区の里づくり拠点「magatama field」は今後、八多町の中心的な存在になっていくのではないでしょうか。



Q.八多町のいいところ・もっとこうなったらいいなと思うところは?

農業をしている友人・知人と話をしていると、「八多町は他の地域に比べ、自由が多い」と感じます。私のように無農薬・無肥料の野菜を育てている人はまだまだ少数派で、大量消費・大量生産を支える慣行農業が盛んな地域では受け入れられにくいものですが、西畑地区の方々は程よい距離感で温かく見守ってくれている気がしますね。
「もっとグイグイ来てほしい」など活発なコミュニケーションを求めている人にとっては物足りない部分もあるかもしれませんが、それは人それぞれの感性の違いでしょうね。

Q.最後に移住を考えている方にメッセージをお願いします。

八多町は、都会がもつ利便性、田舎がもつ自然や環境の良さをあわせもったバランスのいいまちです。都市部から農村部に移住される方にとっても、それほど大きなギャップを抱くことなく生活をスタートできるのではないでしょうか。
とはいっても、草刈りや地域行事への参加など、地域のために自分のプライベートな時間を使うという心構えができていないと、「こんなはずじゃなかった」ということになるかもしれません。草刈りも想像以上に大変ですし、虫もたくさんいます。そういった環境・不便さも楽しめる方でないと、田舎暮らしは難しいと思います。
私は自然栽培を実践する農家なので、誰もが“本当に”安心・安全なものを食べられる世界になってほしいと思っています。お客さんが良いものを食べれば、農家も収入が増えて、良いものを作る農家が増える。その循環を作っていきたいと考えています。私一人では限界があるので、一緒に協力し高めあえるような方が八多町に限らず増えていってほしいです。

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